BIMモデルから図面を作成する本当の理由 – デジタル時代における建築情報の一元化的情報管理の継承

2025.1.14

2020年4月に国土交通省は「2023年から小規模工事を除く全ての公共事業にBIMを原則適用する」と決めました。

そして、2026年春からは住宅などの小規模建築物を含めて建築確認申請におけるBIM図面審査が始まります。

これらの制度に対応するためにBIMを業務へ導入しようと検討している方も多いでしょう。

しかし、BIMモデルから図面を作成する“本当の理由”は別にあります。

そこで今回は、BIMモデルから図面作成を行う本質的な理由や私たちが提供する建築設計サポートサービス「MAKE DoC」をご紹介します。

「BIMソフトで図面を作成したい」「BIMソフトで図面を作成する効果とは何かを知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

コラムのポイント
● BIMで図面を作成することにより、「シンプルで確実な情報伝達」を現代のデジタル技術で実現できます。

●「株式会社MAKE HOUSE」ではBIMソフトを活かした建築設計サポートサービスである「MAKE DoC」を展開しています。


板図に見る建築情報の本質

板図に見る建築情報の本質
(引用:白川村役場|藤井家板図

建築情報伝達の歴史

建築業界でBIMの活用が少しずつ進んでいる今日、よく聞かれる疑問があります。

「なぜBIMソフトで2次元の図面を作る必要があるのか」「せっかく3Dモデルを作ったのに、なぜまた図面に戻すのか」という声です。

この問いに答えるために、少し歴史を振り返ってみましょう。

建築の世界では、古くから図面という2次元の表現方法で建物の情報を伝えてきました。

特に注目したいのが、江戸時代の大工たちが用いていた「板図(いたず)」という建築図面です。

板図の特徴と効率性

板図とは、文字通り木の板に建物の情報を記録したものです。

特筆すべきは、この板図一枚で建物全体の情報が伝達できていたという点です。

現代のように複雑な図面体系を持たなくても、熟練の技術者たちは板図を見ただけで建物の全体像を理解し、必要な加工や施工を行うことができました。

これは、情報伝達の観点から見ると、驚くべき効率性を持っていたと言えます。


板図から学ぶデジタル時代の課題

板図から学ぶデジタル時代の課題

建築設計の進化

現代の建築設計では、コンピュータの登場により、手描きの図面から2~3次元CAD、そしてBIMへと進化してきています。

しかし、この進化の過程で、私たちは板図が持っていた「シンプルで確実な情報伝達」という利点を、どこかで見失ってしまったのではないでしょうか。

デジタル環境における情報管理の課題

板図の時代、情報は限られた面積の中に必要最小限の形で記録されていました。

それは必然的に、本当に重要な情報は何かを考える契機となっていたはずです。

一方で、現代のデジタル環境においては、際限なく情報を追加できてしまいます。

これは便利である反面、本質的な情報が埋もれてしまうリスクもはらんでいると言えるでしょう。

MAKE DoCが目指す一元化的情報管理

MAKE DoCが目指す一元化的情報管理
(弊社サービスにてBIMを活用し作成したパース)

サービスの概要

建築設計におけるデジタル環境が整うにつれて、多くのデータによって本質的な情報が埋もれてしまうという課題認識のもと、私たちは「MAKE DoC」という建築設計サポートサービスを展開しています。

MAKE DoC」は単にBIMモデルから図面を作成するツールではありません。

「建築における本質的な情報をいかに的確に伝達するか」という観点から開発・最適化していく統合的なソリューションです。

主要機能

板図の時代、建物の情報は1枚の板に集約されていました。

MAKE DoCもまた、1つのBIMモデルから様々な情報を引き出すことができます。

  • 確認申請に必要な2次元図面の作成
  • 日照・照明・温熱環境のシミュレーション
  • 省エネ計算や構造計算への展開
  • プレゼンテーション用のビジュアライゼーション

これらのサービスにより、設計プロセスの初期段階から建物の性能を正確に把握し、手戻りの少ない効率的な設計が可能になります。

例えば、従来であれば物理的な模型を作成して検討していたゾーニング段階での検討も、各種シミュレーションを活用することで、より正確かつ迅速に行えるのです。


MAKE HOUSEが展開するサービス
● BIMによる建築設計サポートサービス「MAKE DoC

● 建築プレゼン用3D画像・動画・360°VR作成サービス「MAKE ViZ

● プレカットCADのBIM変換「MAKE CnV


BIM・3Dパースの事例


まとめ|デジタル時代の新しい可能性と2026年に向けた展望

デジタル時代の新しい可能性と2026年に向けた展望
(弊社サービスにて作成したパース)

「今日まで日本古来の建築技術者が本来持っていた“シンプルで確実な情報伝達”という理念を、現代のデジタル技術で実現する」それが私たちの目指す方向性です。

2026年以降の建築確認のBIM化が進む中、このような統合的なアプローチはますます重要になってくるでしょう。

MAKE DoCは、設計者の創造性を支援しながら、実務的な要件もしっかりとサポートします。プレゼンテーションのためのビジュアライゼーションから、省エネ計算や構造計算といった技術的な検討まで対応可能です。

もし、このような考え方に共感いただける方やより効率的な設計プロセスを模索されている方がいらっしゃいましたら、ぜひMAKE DoCについてお問い合わせください。

建築設計の新しい可能性を、一緒に探っていければと思います。